今宵、エリート将校とかりそめの契りを
失敗して捕えられたとは言え、ようやく独りになり、まるで鉛のような疲れが、全身に降り積もっていたのだ。


慣れず落ち着かないベッドでも、身体を横たえた途端、琴はうつらうつらとし出した。
ほんの数分で小さな寝息を立て、現実と夢の狭間を行き来し、ついには意識を手放そうとしていた。
ところがそこに。


「ささ、琴様。急いでお支度なさいませ!」


ドアをノックする音が鼓膜を震わせた。


「えっ? ……え?」


心地よいうたた寝から起こされ、琴はぼんやりと目を開けた。
同時に、室内に数人の女中がわらわらと入ってくる。
琴は慌ててベッドの上に身体を起こし、何事かと辺りを見回した。


ほんのわずかな時間だが寝入ってしまった後、見慣れない立派な洋風の部屋に一瞬ギクッとした。
しかし、すぐに今の自分の状況を思い出す。
突然数人で現れた女中たちに、琴はハッとして警戒心を漲らせた。


しかし、女中たちは彼女に構う様子もない。
この家に着いた時、既に顔を合わせている中年の女中頭が、後から続いた若い女中たちにキビキビと指示を出す。


「琴様を、湯浴みへ。夜着は調えてありますね?」
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