今宵、エリート将校とかりそめの契りを
忠臣も眼鏡の向こうの目を厳しく細める。
「軍の参謀本部にも確認しましたが、早乙女軍曹の死は、通常通り戦死告知書で通知されたようです。彼が亡くなった頃、戦死者が急増した関係で、通知作業が遅延しました。家族の手に通知が渡ったのは、ほんの二月前だったようです」
早速核心を突いた報告を切り出す忠臣に、総士もピクリと眉尻を上げた。
「つまり、通知方法は通常通り。子爵家子息だからと言って、特例措置が取られたわけではないと言うことだな」
総士が『通常通り』を強調して確認すると、忠臣は眼鏡のつるを押さえて「はい」と答えた。
それを聞いて、総士は何度か相槌を打つように頷いて見せる。
日本陸軍による正式な戦死の知らせは、『戦死告知書』という公報だ。
世間一般では、『戦死公報』とも呼ばれている。
薄い和紙に記載されるのは、戦死者の氏名、本籍地、所属部隊、階級、戦死地といった事務的なもの。
そこに、戦死状況などが書かれることはない。
つまり、家族と言えど、命を落とすに至った詳細は知らされないということだ。
と言うのも……。
「そもそも、どの戦死者に於いても、戦死の詳細は軍部でも把握し切れません。それをつぶさに語れるとしたら、死に際に側にいた兵士でしょうが……早乙女軍曹の場合、その兵士も戦死していると思って間違いない」
「軍の参謀本部にも確認しましたが、早乙女軍曹の死は、通常通り戦死告知書で通知されたようです。彼が亡くなった頃、戦死者が急増した関係で、通知作業が遅延しました。家族の手に通知が渡ったのは、ほんの二月前だったようです」
早速核心を突いた報告を切り出す忠臣に、総士もピクリと眉尻を上げた。
「つまり、通知方法は通常通り。子爵家子息だからと言って、特例措置が取られたわけではないと言うことだな」
総士が『通常通り』を強調して確認すると、忠臣は眼鏡のつるを押さえて「はい」と答えた。
それを聞いて、総士は何度か相槌を打つように頷いて見せる。
日本陸軍による正式な戦死の知らせは、『戦死告知書』という公報だ。
世間一般では、『戦死公報』とも呼ばれている。
薄い和紙に記載されるのは、戦死者の氏名、本籍地、所属部隊、階級、戦死地といった事務的なもの。
そこに、戦死状況などが書かれることはない。
つまり、家族と言えど、命を落とすに至った詳細は知らされないということだ。
と言うのも……。
「そもそも、どの戦死者に於いても、戦死の詳細は軍部でも把握し切れません。それをつぶさに語れるとしたら、死に際に側にいた兵士でしょうが……早乙女軍曹の場合、その兵士も戦死していると思って間違いない」