共同生活
「えっ!ここですか!?」


言われてみれば...たしかに深窓の令嬢のような雰囲気がある。


きっと髪の毛を染めた事なんて無いのだろう、黒いサラサラのストレートな髪が肩くらいまである、目はくりくりとしていて輪郭はいわゆる卵型ってやつかな?


年は俺より少し上くらいだと思う、さっきは焦っていて気付かなかったけど...よく見るとかなり可愛い。


「あの...?」


「は、はい!?」


その言葉で我に返ると、じっと顔を見つめている俺を不思議そうに見上げる彼女の視線があった。


「す、すみません!」


俺は何かいけない事が見つかった子供のように謝った。


「...?何がですか?」


「え...あの...。」


(見惚れていた事に気付かれた訳じゃないのか?)


「さっ、さっき初めてこの家を見た時に悪い事してんじゃないかとか思ってしまって...。」


「ええ、聞こえてましたよ。」


最悪、少しも変わらない彼女の笑顔が余計に怖い。
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