きみに初恋メランコリー
「なに、買うつもりだった?」

「え、た、たまごサンドです」

「そっかそっか。よし」



安心させてやるみたいに笑顔でうなずいてみせた俺は、そのままカウンターへと向かう。

うまい具合に人並みをかき分けて会計まで済ませると、ふたりが待つ自販機の前に舞い戻った。



「はい、たまごサンド。てか、これだけで足りる?」

「え、あ、大丈夫です……って、え!?」

「このメロンパンもあげよっか?」

「や、あ、あのっ」



一瞬素直に手を出しかけたものの、すぐに慌てた様子で息巻く花音ちゃん。

そんな彼女に、俺はまたにっこりと笑う。



「どうせ俺も買うつもりだったから。気にしなくていいよ」

「そんな、すみません……っ! えっと、いくらですか?」

「いやいや、お金もいらないし」

「えっ!?」
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