お見合い相手は無礼で性悪?





予定より少し時間は掛かったものの
半年前に出来た大型ショッピングセンターは
平日だというのに駐車場が7割方埋まっていて
人気が高いことをうかがわせていた


『少し歩きましょう』


トレーナーはいつものように半歩前を歩きエスコートする


『輸入品の割合は?』


『イタリアからの家具や雑貨で
8割方と聞いていますよ』


いつかはショップを経営したい思いから興味があると話していたインポートショップは北欧の雑貨ショップとは客層がちがう

目で見ると平面の想いが立体的になりますよと
密かに好みに合うショップを探してくれたようだ


『ありがとう』


笑顔で頭ひとつ高いトレーナーを見上げると
たれ目がちな甘い目がクシャクシャの笑顔で見えなくなった


広大な敷地を歩くだけでも大変だけれど
今日は更に高めのヒールが行く手を阻む


『愛華さん、この後の事もあるから
先に靴を買いますか?』


全て把握した上で提案してくるトレーナー気遣いに感謝しながら目の前にあったショップに入った

試し履きに悩むことなく
いつも好んで買っている靴がたまたま揃っていて

歩きやすいローヒールを購入することにした

支払いを済ませるとトレーナーはサッと手を伸ばして当然のように紙袋を持ってくれた


居心地良い・・・
いつもそう思ってきた

それが恋とは1ミクロンも思ってなくて
仕事上の配慮がピカイチの人
そんな位置付け

ランチの支払いでも・・・


『払ってもらう理由がないでしょ?』


その言葉通りにいつもそれぞれ
踏み込んでこないトレーナーと一緒にいるのは心地良い


しばらく歩くとお目当てのショップに着いた
ウィンドウ越しにもセンスの良さが溢れている


店員さんは、パリッと糊付けされた大きめの襟が特徴のシャツに黒いカフェエプロン姿


周りに気を配りながら
ディスプレイの前出しをしている


『雰囲気良いね』


『ですね』


悪いことをしている訳でもないのに
声を絞りながらのお喋り

顔を見合わせ笑う二人に
時折視線を重ねて微笑む店員さん

生活シーンに合わせたディスプレイと
小物の配置がとても絶妙で

半歩ずつ店内を見て回り、1周した頃には
トレーナーが持ってくれたカゴに
相当な数の小物が入っていた

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