甘すぎてずるいキミの溺愛。
「千湖、危ない!!」
小町の焦った声が聞こえた時にはすでに遅かった。
頭にドンっと痛みが走った。
バカみたいにいろんなことを考えて、そっちに気を取られていたせいで、今の自分の状況を見失っていた。
どうやら、頭にボールが当たったみたい…。
視界がさらにぐらつく。
あぁ……無理かもしれない、倒れそう。
暑さと、ボールが当たった衝撃で
身体がふらついて
倒れる覚悟をした。
いいや……もう…。
どうでもよくなってきた…。
重力に逆らえないまま、身体が倒れていった。
その時、微かに聞こえた。
……わたしの名前を呼ぶ声が
それが誰かはわからない。
すぐに身体がふわっと浮いて、
周りのざわつく声が聞こえた。
不思議と……その人の腕の中で安心してしまって、途端に意識を手放した。
このまま、ずっと……
触れられていたらいいのに…。
次に目を覚ましたとき
わたしのそばにいてくれる人は
誰だろう……。