復讐をするまで忘れずに…
しかし、そんな平和な日常は、あっけなく終了してしまった。



桃音の20周忌の時、初めて、将哉と結斗、結菜を連れて桃音のお墓にきた。



桃音と血が繋がっているのは、私が知る限りでは、私と子供達だけ。



子供達にとっては、会ったことのない叔母さん、しかも8歳の時に亡くなってしまっている叔母さん。




よく理解できていないと思う。




でも、一度こうして、桃音の存在を2人に伝えたかった。




そして、3人を置いて、私は寺の本堂の方まで行った。



本堂と墓は少し離れている。



そこで、2人の男性を見た。



どんどん、私に近づいてくる。



そして、私は倒れてしまった。



そのまま、桃音のもとに行ってしまったのだ。




最後に、将哉たちに「さよなら」が言いたかった。



こんなお別れをするなんて夢にも思ってなかった。





しかし、私は倒れる直前、分かったことがあった。



2人の男性は、安藤の兄と安藤に殺されかけた孤児院にいた男性だった。



2人とも事情聴取などで顔を見てたので分かった。





私は、この事件に関与してはいけなかったのだ。




それが最期に分かったことだった。




あの火事の被害者である、私がこの事件の解決に関与することは、火事で生き残った人たちや、火事で亡くなった人の遺族にとって邪魔な存在だったのだ。




私は、安藤がせっかく見つけてくれた犯人だったのに、証拠不十分と決断されたらすぐに諦めてしまった。



火事で亡くなった人たちにとって、私たち、生き残った人々がその犯人を逮捕してくれるのが、唯一の望みだったのだろう。



でも、私はそれをしなかった。



それどころか、事実を知っていた安藤をすぐには見つけず、何人もの人を殺させてしまった。



安藤に最後に殺されかけたあの男性は、そういう憎しみを込めて、私を殺そうと決めたのだろう。



安藤の兄は、安藤がせっかく見つけたのに、安藤のことだけは処罰しておいて、自分の母親を殺した、火事の犯人へは何の処罰もしなかったことへの恨みだろう。




そう、私はこんな事件なんて知るべきではなかったのだ。
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