俺を好きにならないで
見たところ、帰り道という感じだった。



「こんにちは」



とりあえず挨拶をしなきゃと思い、颯さんにお辞儀をする。



「こんにちは、2人とも今帰り?というかこの方向って家に向かってる?」


「……姉貴に呼ばれたからとりあえず家に向かってる」


「そっか!そうなんだ!」



ニコニコ笑顔な颯さんとは対照的に暗く影を落とす湊。


何か様子が変?


さっきまでこんな表情見せなかったのに。



「大丈夫?どっか気分悪い?」



心配になって湊に声をかける。



「大丈夫」



でも彼は私の目を見ずにそう答えた。


でも絶対に大丈夫じゃない。


明らかにおかしい。



「湊、やっぱりどこか変だよ?やっぱり具合悪い?」


「大丈夫だから!」



変なのに。


変なのに彼は大丈夫の一点張りで、そう言われちゃうと私はもう何も言えなかった。
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