俺を好きにならないで
そんな私の言葉を聞いてからか、湊は繋いでいた手を離し、私の前に立つ。


彼はすべての言葉を伝えてくれる。


そう確信した。



「俺……」


「うん」


「俺は……」



続きの言葉を待つ。


でもなかなか返ってこない言葉。


そっと彼を見ると、彼は私というより、私の後ろを見ていた。



「湊?」


「……なんで」



訳が分からず、とりあえず後ろを振り返る。



「湊、美紅ちゃん!」



そこには颯さんがいた。
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