俺を好きにならないで
「……そう」



そう一言いうと、湊は私とは目を合わさずに家の方向に向かって歩き出した。


その隣で颯さんが湊に対して何か言っているようだったが、私の耳には入ってこなかった。


湊の態度は明らかに変。


私は何か間違えた?


絶対に湊の何かを傷つけたよね?


彼の険しい表情が目に浮かび、やりきれない気持ちになる。


そして何を傷つけたのか私なりに考える。


浮かぶのは先程ネタばらしをした名前呼び。


もしかして颯さんに言われて名前呼びをしたことに怒って……いる??


私の意思じゃなく颯さんに言われて名前で呼んだと思い、怒っているのだろうか?


そうじゃない。


そうじゃないのに。


でも結果的にそう見えるのも事実。


もっと早く名前で呼べてたら良かった。


颯さんに言われる前に呼べていたら。


でももう後悔しても遅い。


ゆっくりと重い足取りで、2人のあとをついていくのだった。
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