ワンコ系Drの熱烈アプローチ
いきなり横から思いっきり腕を引かれ、歩道にせり出している店の看板の陰に連れ込まれていた。
言葉もなく頭を上から押し込められて、看板に隠れるように背を縮める。
何事かと真横の鮎川先生を見やると、看板に隠れながら歩道の向こうに目を向けていた。
「何ですか、いきなり!」
「やばいもん見てしまった……」
「え?」
一点を見つめながらボソッとそんなことを口にする鮎川先生。
わけがわからないままその先に目を凝らすと、とんでもないものが目に飛び込み、ハッと息を呑んでいた。
「うっ、うそ……」
私たちの歩く歩道の横を通る道路に、信号待ちしている一台の高級外車。
その運転席にはハンドルを握る律己先生の姿があり、横の助手席には浅木さんの姿がある。
思わず横の鮎川先生の腕をぐいっと引っ張ってしまう。
「あ、あれって……」
私の驚愕の反応に、鮎川先生は黙ったままコクコクと頷く。
二人してじっと停車している車を見守っていると、ふわりと笑みを浮かべた律己先生が浅木さんの頬を撫でる瞬間を目撃してしまった。