16% jsdr
輝と智代。翔と彩香。ベストカップルだと思った。
嫌気が差したと言い、佑也と近くの公園に行った。ベンチに座りながら、ただ話した。話して笑った。話して泣いて、佑也はあたしの手を握った。ただ泣いた。

あたしの話しに、耳を傾けてくれる人。この時はそれだけ。

暦は春。雪が溶け初めて、まだ寒い。公園の遊具はすっかり見えてきた頃だった。

泣きながら、歩いた。狭い公園を何週もした。無意味に四葉のクローバーを探して、無意味に幸せを探した。見つからなくて悔しがる佑也を見て、あたしが笑う。疲れてベンチに座った。
佑也がまだ組み立てられていない鉄棒の近くで指輪を拾った。
あたしに手招きをして、あたしの薬指に指輪をはめた。
拾っただけ、そこに一緒に居たのがあたしだっただけ、それで良かった。佑也がくれた欠片が、あたしの左の薬指で輝いてる。嬉しくなった。

好きになる感情なんて知らなかった。まだ中学、必要としてなかった感情だった。
< 10 / 84 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop