好きって言えよ、バカ。
どんなに考えても、この輪の中に入って雅さんと蓮くんに声をかけるなんて無理だ。
仕方ない、と諦めて帰ろうとした。
「……おい、なんで無視してんだよ」
「本当、酷いな絃ちゃん。すぐ居なくなっちゃったから出てくるの待ってたのに」
いつあの集団の中から出てきたの!?
というくらいの早さで私たちの前に現れた雅さんと蓮くん。
余程大変だったんだろう。
2人共とても不機嫌だ。
「声かけるにもかけられなくて……」
「まぁ、どうでもいいけど」
「じゃあ、帰ろっか」
雅さんと蓮くんが私たちのところに来たことで、集まっていた女の子たちからの視線が痛い。
それが少し収まり、みんなが帰り出した頃に私たちも帰ることにした。
瞳とは駅でお別れ。
練習試合とは言えども、高校に入って初のメンバー入り。
そして初のシュートとチームの勝利をお祝いしようと、豪華にお寿司を買って帰った。