好きって言えよ、バカ。
「……っ」
思い出した、大事なこと。
葵くんがゴールを決めたら、キスをする。
「む、無理だよ、葵くんっ!」
しかも私からキスだなんて、そんなことしたこともないし、恥ずかしくて出来るわけがない。
雅さんがいたら全力で止めてくれたかもしれないのに、今は私の部屋で葵くんとふたりきり。
どうしよう、どうやって逃げよう。
「だーめ。逃がさないよ、絃ちゃん?」
「ひゃあっ!?」
男の子の力で軽々と持ち上げられてしまった私は、葵くんの膝の上に向かい合わせて座らされてしまう。
触れてしまいそうな近い距離。
触れたところから伝わる温もり。
近すぎて伝わってくる葵くんの吐息。
どれもが私をドキドキさせるのには十分で、また頬が赤く染まっていく。