好きって言えよ、バカ。
「あっ!もしもし!?瞳!?」
『そ、そうだけど……そんな慌ててどうしたの?』
あまりにも勢いよく話し始めるものだから、電話越しの瞳は若干引き気味だ。
「突然で申し訳ないんだけど……今日と明日泊めてくれない?」
お願いします、神様仏様瞳様。
どうか私を、お助けください。
『あー、ごめん。無理だわ』
私の必死なお願いは、一瞬にして砕け散った。
「そんなぁ……」
『絃とお泊まりしたいのは山々なんだけど……今日から家族旅行で北海道に行くところなの』
「え、家族旅行……」
『うん、だからごめんね?ちゃんとお土産は買ってくるからさ?』
「うん、わかった……お土産、期待してるからっ!じゃあね!」
これから楽しい旅行に行く瞳の気分を下げないようにと、明るく電話を切った。
それと同時に、盛大なため息をつく。