好きって言えよ、バカ。




「覚悟しろよ、絃」



「……っ」



顎をクイッと上げられて、混じり合わさる視線。



その瞳から、目をそらしたいのに吸い込まれていくようで、そらすことが出来ない。



「ねぇ、そのイチャイチャ他所でやってくれない?」



葵くんが変なムードを打ち消すように言った言葉は、いつも蓮くんが言う言葉だ。



「本当に全くだ。絃ちゃん、俺たちがいないあいだに蓮には落ちるなよ」



み、雅さんまで変なこと言い出す……!



「あ、当たり前じゃないですかっ!!」



誰がこんな俺様悪魔に落ちるもんですか!



「やれるもんなら、やって見なさいよっ」



私から蓮くんへの宣戦布告。



そう簡単に落ちるわけないんだから。



私のことを惚れさせるっていうなら、受けて立とうじゃないの。



そう固く決意して、目の前にいる蓮くんのことをキッと睨みつける。



「言ったな、絃」



「臨むところよ」





< 74 / 306 >

この作品をシェア

pagetop