好きって言えよ、バカ。
「覚悟しろよ、絃」
「……っ」
顎をクイッと上げられて、混じり合わさる視線。
その瞳から、目をそらしたいのに吸い込まれていくようで、そらすことが出来ない。
「ねぇ、そのイチャイチャ他所でやってくれない?」
葵くんが変なムードを打ち消すように言った言葉は、いつも蓮くんが言う言葉だ。
「本当に全くだ。絃ちゃん、俺たちがいないあいだに蓮には落ちるなよ」
み、雅さんまで変なこと言い出す……!
「あ、当たり前じゃないですかっ!!」
誰がこんな俺様悪魔に落ちるもんですか!
「やれるもんなら、やって見なさいよっ」
私から蓮くんへの宣戦布告。
そう簡単に落ちるわけないんだから。
私のことを惚れさせるっていうなら、受けて立とうじゃないの。
そう固く決意して、目の前にいる蓮くんのことをキッと睨みつける。
「言ったな、絃」
「臨むところよ」