ブラックサンタクロース


「羽山さん? やっぱりなにかありました?」

「……いや」


あの状況でキスで止められた俺、紳士だな……?


莉音はもっとして欲しそうだったが。
キスより先に進むのはさすがに抵抗がある。


ひとつは、言わずもがなこの世界の倫理観。

俺みたいな“いい大人”が莉音のような少女に手を出すのはタブーだ。(キスだってバレたら懲戒免職ものだ)


もうひとつは――。


「羽山さん。行きましょう」

「ああ」 


もしも、“歯止め”がきかなくなれば。

アイツがもっと“美味そうに”なれば。


俺は、自分の心とは裏腹に


あいつを失ってしまうかもしれない。

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