ブラックサンタクロース


莉音の傍にいすぎることは危険だということを、俺は頭のどこかで認識していた。


俺の中の魔物が暴れだしでもすれば。


正気を取り戻したときには、莉音は俺に喰われたあとだってことも想定できる。


それでもアイツを傍に置くことを決めた。


アイツを餌として見たことなんて一度もない。


この先、限られた時間を、共有したい。


こんな感情が芽生えるなんてイカれている。


本当に莉音が守りたいなら、莉音から距離を置くべきなのだろうが。


その選択は……できない。


莉音の傍で、莉音を守りたい。


消せない矛盾。


決して空腹になってはいけない。

腹が減ると“喰うこと”が頭から離れないから。


そうして勝ってみせる。自分に。


アイツが俺といることを選んだように。

俺も、アイツといることを選んだ。

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