ブラックサンタクロース
「すごいですねぇー。警備の数」
「……そうだな」
上原とやってきたのは某巨大ドーム。
ここで今夜開かれるイベントに出るアマリだが、脅迫状が届き、警官が緊急配備されることになった。
その差出人は――言わずもがな、X。
それでこんなにも警官が駆り出されたってわけだ。
他県からの応援も呼んでいて、上原と俺みたいな私服警官が一般人に紛れてウロついている。
「なりすましって可能性もあるのに、よくここまで大きく出ましたよね?」
「警察のメンツにかけて捕まえたいんだろ。いつまでも野放しにしてられねーわな」
「狙われてるのは、AMALIっていう売り出し中のアイドルですが。羽山さん知ってます?」
「……さぁ」
ターゲットがアマリで良かった。一般人ならそいつを人質にされると厄介だが、アマリなら話は別。
アマリが単独で仕留めるのを待つか
アマリと俺に挟み撃ちにでもされりゃ、袋のネズミ。
もし本当に今夜Xが現れたなら、確実に仕留められるだろう。