ブラックサンタクロース


「観客は、脅迫状のことは知らないんですよね」

「ああ。知られちゃ困る。忽ち大混乱だ」

「ここにいる多くの人たちにとって最高の一日になるといいですけど。人生最悪の日になるかもしれないって思うと、俺……」

「ビビってんのか?」

「すみません。捕まえたい気持ちは強いのに、あのXと戦うと思うと……やっぱり恐怖しますね」


いつも勇敢な上原ですらこれなら、一般人は、Xが現れるかもしれないと考えただけで発狂ものだ。


「そんなこと、絶対にさせねーよ。この俺が」


最高の夜にしてやる。


「……羽山さん」

「なぁに。X捕まえたあとは、アマリとハグでもしてこいよ」

「な、なにいってるんすか!……セクハラです」


上原の顔が、みるみる赤くなる。

お前よっぽどアマリのこと好きなんだな。


喰われても知らねーぞ? 冗談抜きで。


「あの子を守らなきゃと思うと。やっぱり力湧いてきました!」

「単純なやつ」

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