いとしい君に、一途な求婚~次期社長の甘い囁き~


赤いアネモネは「君を愛する」、白は「真実」が花言葉。

誠実な感じがしていいのと、アネモネの花自体がゴージャスであり可愛いらしさもあるのでコンセプトにピッタリなのではということだ。

カンプを作成する際、気づけばコンセプトから離れてしまった……とういうケースも少なくない為、そうならないように何度もディレクターに相談させてもらった甲斐があったと私は胸を撫で下ろす。

いち君は、アネモネをモチーフにしたカンプを見つめながら「うん、俺もこれ好きだな」と頷いた。

そうすれば、彼の言葉に美女たちが一斉に同調する。

彼女たちはいち君に笑顔を向け、和気あいあいと店頭に置いた際のイメージとして作成したモックアップと呼ばれるパッケージの模型を手にしている。

その指先を彩るネイルも皆オシャレにしていて、何もしていない私は何だかんだ恥ずかしくなり、そっと手を膝の上に置いて指先を隠すように重ねたのだった──。



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