悲劇のヒロインなんかじゃない。
愛する人に愛していないと言われてしまったのに。


愛する人が他の女性を目の前で抱きしめているのを見てしまったのに。


愛する人に怒りの目を向けられてしまったのに。



辛くて消えてしまいたいくらいなのに。



彼女のように涙を見せれば良かった?


すがり付けば良かった?



そうではないだろう。


私は彼にとってのヒロインになれなかった。


それだけの話だ。


だから、私は悲劇のヒロインなんかじゃない。


私は悲劇のヒロインなんかじゃない!


私は下がっていた視線をあげ、力強く歩きだした。




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