恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!
 「鯖は臭みを取るために霜降りにします。」

 「霜降り?」

 「熱湯を回しかけることなんですよ。」

 佐倉さんは手際よく捌いた鯖の半分に、沸かしておいた熱湯を回しかける。すると鯖の表面が一瞬で白くなった。

 「なるほど!」

 私は忘れないうちにメモを取る。

 「この残りの半分は今から塩をまぶして少し置いてから、水けを拭いて冷凍保存します。」

 「はい。」

 彼女は丁寧な説明をしながらも手際はものすごく良くて、どんどん作業が進んでいった。
 鰹節と昆布で取った出汁と出汁がら作った佃煮、ひじき煮、サバの味噌煮、の他にも、根菜の煮物、を作ってから極めつけは、トマトの水煮缶でパスタソースまで作っていた。大量に作ったソースの半分は保存袋に入れて冷凍庫行きだ。
 そうして教わりながら料理を手伝うこと一時間。
 かなりの数の料理が冷蔵庫と冷凍庫に収められた上、キッチンはピカピカに片付け終わっていた。

 「す、すごい…」

 「ありがとうございます。まぁプロですからね。」

 佐倉さんは濡れた手を拭きながら慣れた口調でそう言った。

 リビングの時計を見ると11時を指している。

 「佐倉さん、お時間はまだありますか?」

 「ええ。今日は早めに済んだのでまだ時間に余裕はありますが?」

 「じゃあ、良かったら一緒にお茶を飲みませんか?」

 私が笑顔でそう聞くと、佐倉さんは瞬きを二三度して、「ふっ」と気の抜けたような息を吐いた後、

 「では、お言葉に甘えて。」

 と微笑んだ。
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