恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!
 どういうことなの…?
 
 いくら私が今まで男性とお付き合いをしたことが無いとはいえ、『朝まで一緒にいる』その意味が分からないほど子どもじゃない。

 また、私のことをからかってる?

 予想もしなかったその言葉に、私の心臓は早鐘を打っている。
 修平さんの真意が分からない。 
 覆い被さるように私を抱きしめている修平さんの顔は見えず、彼がどんな顔で言っているのか分からない。
 彼の胸に顔をつけている私が顔を上げれば良いのだけど、その勇気が出ない。
 彼の背中に置いた手を下げることも指先を動かすことも出来ずに、彼の腕の中で息を潜めていた。


 無言で抱き合ったまま、どれくらい時間がたったのだろう。

 彼がそっと腕を解いて、私から離れていく。
 その時に二人の隙間から入ってくる空気が冷たく感じた。
 さっきまで私を抱きしめていたその腕は、手を伸ばせばまだ触れることが出来るくらいのところにある。

 「ごめん、聞かなかったことにして。」

 聞こえてきた声に顔を上げた。
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