恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!
 そっと一撫でした時、彼の背中がピクリとした。
 
 興奮している獣を宥めるように、その広い背中をそっとそっとゆっくりと撫でる。
 二三度繰り返したところで、彼の腕から力が抜けていくのを感じた。

 「ごめん。」
 
 少し間が空いた後、修平さんが小さな声で呟いた。
 私の背中で組んだ両手は緩く私を囲っているだけだ。

 「…ううん。」

 いつもだったら修平さんにこんな風にされたら冷静でいられないのに、今は何故だか頭の中が研ぎ澄まされている。

 「…誕生日の最後に、一つだけ我が儘を言ってもいいかな。」

 遠慮気味にそう言われた私は、少し戸惑ってから「うん。」と答えた。

 修平さんはそれから少しの間黙っていた。その間も両腕で私を囲ったまま、離れようとはしない。
 意を決したように息を吸い込む音が頭の上で聞こえると、私の耳元で彼の掠れた声が囁く。

 「今日は朝まで一緒にいてほしい。」

 私は両目を見開いて、息を呑んだ。


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