恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!
 「ここからの景色は、亡くなった祖母も気に入っていたんだ。」

 「そうだったんだね…」
 
 遠くの景色を見つめたまま話す彼と同じ方向を見た。東から差し込み始めたばかりの朝陽に照らされて、川面がキラキラと光っているのが見える。

 「桜が満開の時期は、本当に美しい景色が見れるんだ。」
 
 「素敵。私も見てみたかったな。」

 「来年また来ればいいよ。」

 彼の台詞に、言葉が詰まった。
 
 『来年』私がもしここでそれを見ることがあったとしても、きっと一人なんだろうな。

 そう思うと切なくて胸が苦しい。

 「……そう、ね。」

 無言でいるのも気まずく、そう返事をするのがやっとだ。

 「……亡くなった祖母は桜をこよなく愛してたんだ。その祖母は二年前の今日、桜が散るのを見届けて、亡くなった。」
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