恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!
 
 「お待たせしてごめんね。きちんとご挨拶出来て良かったよ。」

 立ち上がりざまに振り向きながら、そう言った私を、修平さんはいきなり抱きしめた。

 「しゅっ、修平さん!?」

 彼は無言で私を抱く腕に力を入れる。
 
 「どうしたの?具合でも悪くなった?足が痛いの??」

 思いつく限りの理由を述べて見るけど、彼の腕は少しも緩まらない。しかも私の質問に答えてもくれない。
 なにがなんだか分からなくて、口を噤むしかなくなった。
 
 
 どれくらい黙ったままそうしていただろう。
 
 「ありがとう、杏奈。」

 静かな声が頭の上から降りてきた。

 「祖母ちゃんもきっと喜んでる。」

 「そうか、な…。」

 「俺も嬉しかった。」

 「良かった。」と私が言う間に、彼の腕が解かれる。空いた空間から朝の冷たい空気が入り込んで、火照った頬に気持ち良い。

 「杏奈。」

 少し改まった硬い声で私を呼ぶ修平さんに、顔を上げた。
 瞳がぶつかる。
 その目は、声と同様、いつもの柔らかさはない。

 私の背中に回していた手を離した修平さんは、三十センチほど距離を開けて立っている。
 彼の真摯な瞳に捕えれたように、一ミリも目を逸らすことが出来ない。

 彼の口が開いて次の言葉を放った時、私はハッと息を吸い込み固まった。
 
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