恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!
「おかえりなさい。」
夕飯の時間に帰宅した修平さんを出迎える。少し口を尖らせて出迎えの挨拶をする私を見て、彼は不思議そうに首を傾げる。
「どうしたの、杏奈。なんか怒ってる?」
「怒っては、ない、けど…」
「けど?」
「私、次に出勤するのが怖いよ…」
「なんで?」
「なんでって!修平さんが皆の前であんなことするから!」
頬を膨らませて抗議すると、彼は「あはは。」と笑う。
「別に、聞かれたら本当のことを言えばいいんじゃないかな?」
「本当のこと、って!そんなこと言えないよ…」
「どうして?俺と噂されるのは嫌?」
「そうじゃなくてっ!……」
なんて説明していいか分からなくなって、私はとうとう言葉を詰まらせた。
黙って俯いてしまった私の顔を、修平さんが覗き込んでくる。
「言って、杏奈。杏奈が不安に思ってることは何でも教えて欲しいよ。」
髪を撫でながら優しく言われて、私はおずおずと言葉を選んで話し始めた。