恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!
「お久しぶりです、杏奈さん。」
「佐倉さん、ご無沙汰しています。」
ちょうど二週間前の月曜日に彼女にあれこれと家事のノウハウを教えて貰って以降、会えずにいた。もしかしたら、もう会うことはないのかも、と先週は思っていたのだけど…。
久しぶりに会えた佐倉さんに私は興奮した。また会えたら伝えたいことが色々とあったのだ。
「佐倉さん、あの時は本当にありがとうございました。お陰で修平さんのお誕生日をお祝いすることもできました。」
「そうですか、それは良かったです。その後、瀧沢様の足の具合はいかがですか?」
「はい、足はすっかり良くなって、先週末には病院から完治のお墨付きも頂いたみたいですよ。」
「まあ、それはなによりですね。」
「はい!……でも」
「でも?他に何か悪いところでも見つかったんですか?」
「い、いえ…悪いところはありません。ただ、その後すぐに、お仕事でトラブルがあったみたいで、ほとんど家に帰れない状態なんです。」
「まあ…それは大変ですね。…しかし、そういったことは前からよくあったみたいですよ。」
「そうなんですか?」
「大奥様がご存命の頃、一緒に暮らしていらっしゃる修平坊ちゃまが、仕事ばかりであまり家にいないとよく嘆いていらっしぃました。どちらかというと、彼の体を心配なさって、そうおっしゃっていっらしゃるようでしたけれど。それもあって、アンジュを飼うことにされたようですし。」
「そうだったんですか?」
「はい。仔犬だったアンジュが来てからは、瀧沢様の生活も随分と規則正しくなられたと伺っております。まあ、今回に限っては、急務が落ち着かれたら、ご自宅に帰っていらっしゃるとは思いますよ。」
「…そうでしょうか……」
自信ありげに微笑む佐倉さんに対して、私は頼りなげに眉を寄せる。
「そうですよ。杏奈さんがいらっしゃいますからね。」
「えっ!!」
「ふふっ。長年の勘です。差し出がましいことを申し上げました。」
佐倉さんは、あまり見ることの出来ない微笑みをうっすらと浮かべていた。
『長年の勘』の備わっていない私には、どういうことかよく分からなかったけれど、彼女の言葉が当たればいいな、と思う。
「早く帰ってこられるといいですね。」
と言って貰った私は、その言葉に励まされてて、今日も頑張って仕事に行くことにした。