恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!

 その日も、仕事から帰宅した時、修平さんが帰った形跡すら見当たらなかった。
 出迎えてくれるアンジュも、心なしか寂しそうにしている。
 リビングで、アンジュの首に腕を回して、彼女の柔らかい首筋の毛に顔を埋めながら、「無事にお仕事がうまく行って、修平さんが帰ってこれるといいね。」と呟いた。

 アンジュの温もりがあるから、この広い家でなんとかやっていける。
 そう思った時、私は彼の亡くなったお祖母さまの想いを、ハッキリと理解した。

 お祖母さまは、この家に修平さんだけを遺して逝きたくなかったんだ。
 彼の悲しみや寂しさに寄り添ってくれる存在が側にいることを、きっと願っていた。

 そう気付くと、心がほんわかと温かくなった。

 アンジュだけじゃなくて、私も修平さんにとってのそんな存在になりたい。

 心から、強くそう思える。

 「ちょっと仕事で会えないくらいでメソメソしてたんじゃダメ!私が強くならないと、修平さんに頼ってもらえないもん!」

 口に出すと、スッキリした。

 「このうちで、彼の留守をちゃんと守る。彼が帰って来た時に、少しでもその疲れを取ってあげられるように、私がしっかりしなきゃ!」

 へこたれてる場合じゃないぞ、と気合を入れ直した。


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