いつだって君を。
この町
すこし古いこの家の
2階の角の8畳の和室
窓際にはシングルベッド
その横に小さな丸テーブル

勉強机にタンスが2つだけの部屋

そこがこの小説の主人公の部屋

腰まで伸びた髪、真っ白なシーツに絡まる脚
カーテンの隙間の光を浴びた頬
少し濡れた睫毛が反射してキラキラしていた…

と、それっぽく書き始めてみたが
無理だと気付いたのでここからは
大目に見て読んで頂きたい。



彼女は笹山 暦(ささやま こよみ)
長い髪は金色に抜かれ
色白の肌によく似合っていた。


ドカドカドカーー
階段を上る音が響く…

ガラッ


「暦ーー!!朝じゃ!起きろ!」


彼は暦の幼馴染の菅谷 弦(すがや げん)
隣に住むこの田舎では有名な
菅谷建設社長の一人息子だ。
彼もまた赤色に髪の色を入れていて
目立つ存在だった。


「…んー…なんや弦ちゃん…
また勝手に部屋に入っとる…」

暦はまだベットの上で毛布に包まったまま

弦 「勝手ちゃうわ、ちゃぁーんとお前の母ちゃんに許可得たわ。
はよせぇー!」

暦は目を擦りながら
しかなく起きることにした

暦 「…うるさいのぉ、朝から。弦ちゃんは
元気やね〜。んー…わかったわかった、いま着替えるから待っとってね。」

弦 「…手伝うか?」

暦 「アホか(笑)待っとってね!!!」

部屋の外で扉に寄りかかり待つ弦

ーーーーーー
ガラッ

暦 「お待たせ、学校行くん?」

弦 「ほうじゃのぉ…どこ行こうかのぉ。」

暦 「起しといてなんやのもぉ〜、笑」

ドタドタドターー
階段を勢いよく駆け下りる

弦 「まーとりあえず行くで!!
おばちゃんお邪魔しました〜行ってくるわ〜!」

暦 「お母ちゃん!!勝手に弦ちゃん入れんといてよ〜?裸だったらどうするんじゃ〜!」

母 「なーにを今更恥ずかしがっとるん?今日はちゃんと、学校行きなさいよ〜??
夏休み前の、最後やないの?
サボったらダメやけんね!!」

母はこの小さな田舎で美容室を
営んでいた
美容室はこの家の1階になる
美人で自慢な母だ
父はいない、幼い頃に離婚をしたあと
事故で亡くなったと聞いている
深くは追求しない
母はこの話はしたがらないと
わかっていたから


弦 「はいはい、おばちゃん!わかっとるわ〜!」

ーーーーバタンッ

玄関の前に止まっていた弦の
自転車の荷台にまたがる暦


暦 「よーいしょ!」

ーガシャン

弦 「はぁ、たまには暦が前乗れや〜。(笑)」

暦 「そんなことしたら、うち倒れてしまうもん。女やし♡」

弦 「はー?どこの口が言っとんじゃ?!え?この口か?!」

ーーむにゅう

弦は暦の頬を摘む

暦 「っ?! やめろ!いたい〜!!(笑)」

弦 「ふっ(笑)ブッサイクじゃのぉ。しっかりつかまっとれ〜! 」

ーーガシャン

自転車は勢いよく走り出す

暦 「いっけー!とっばせー!!!キャー!」

弦 「待っとけよー!いま飛ばしたるわー!」


二人を乗せた自転車は川沿いを走り
7月の真夏だとゆうのに
涼しく気持ちがよかった

弦ちゃんとは小学校も
中学に上がってからも毎日
一緒に通う
それが当たり前だった

この頃の私達は幼く
ただ過ぎて行く日々を
なんとなく楽しく当たり前に過ごしていた。



暦 「弦ちゃーん!!学校行こー!結(ゆい)と彩乃(あやの)と約束してるんやった〜!」

弦 「オッケーじゃーー!!!おりゃー!!」

さらにスピードを出す弦

『アハハハハ〜!!』

ーーキーンコーンカーンコーン
学校についた二人は
友達の待つ教室へ向かった

古い学校の床は歩くたびに
キシキシと音が鳴った

ガラガラッーー

「おー!お二人さんおはよーさーん!」

この人は 柳 奏大(やなぎ そうた)
明るく優しい、さわやかな少年
弦ちゃんの親友

「弦ちゃん!暦!おっはー!」

長い髪を可愛くおダンゴに結わっている
この女の子は
秋川 彩乃(あきがわ あやの)
お洒落な女の子

「おはよぉ!二人とも遅いわぁ〜(笑)」

おかっぱで小さくてすこしふっくらした
女の子らしいこの子は
高瀬 結(たかせ ゆい)
優しくて、癒し系。

奏大 「よぉ彩乃〜今日はどこ行こうかのぉ?
今日のそのうんこみたいな髪も可愛いわぁ♡」

彩乃 「なにそれ、今日もなにもないわ!
うんこちゃうし!!むっかつくわぁー!」

結 「奏ちゃん奏ちゃん♡今日はダメや〜、彩乃ちゃんと暦ちゃんと3人で遊ぶんやから♡」

彩乃 「あっ今日、暦んち行こう〜?」

暦 「オッケー!そうしよ!そうしよ!
男子は出禁じゃ!(笑)」

弦 「奏大ドンマイじゃ。」

奏大 「おまえもな。」

『アハハハハ〜』

ーーーーキーンコーンカーンコーン…


結 「暦ちゃん、彩乃ちゃん、一緒にトイレいこ〜?」

彩乃・暦 「オッケー」

ーー
3人は教室から一番近い角の
女子トイレへ向かった

洗面台の鏡に向かい髪を整えながら
おしゃべりをする
この3人の日課だ

結 「なぁ?やっぱり奏ちゃん彩乃ちゃんに惚れとるねぇ♡にやけちゃうわぁ♡」

彩乃 「はぁー?嫌や〜、奏大なんか好かん!」

暦 「奏ちゃん、優しいやん!
むかーしから彩乃にだけじゃ、あんなん言うの!(笑)」

結 「ほうやぁ〜!!奏ちゃん優しくていい人じゃ!羨ましいわ♡」

暦 「結は奏ちゃんに惚れとんのか?(笑)」

結 「惚れてない惚れてない!(笑)うちはもっとこう王子様みたいな人がええんやもん♡」

彩乃 「…うち…好きな人いるんじゃ/////」

暦・結 「…え!!!???誰なん?!!!」

彩乃 「教えなーーい♡」

暦・結 「けちーーーー!!(笑)」

暦 「そんなん言われたら気になるぅー!!♡だれだれー??」

彩乃 「ひみつやってー!(笑)」

『キャーキャー』

ーーーー

その頃、弦と奏大は
体育館の裏の
扉の前が2段、階段になっている場所で
腰掛けながら休んでいた

この場所もまた、この二人の
憩いの場、、

奏大 「弦ちゃん暦とつきおーとるんか。」

弦 「…急になんじゃ。(笑)」

奏大 「ずっと昔から一緒や、なんちゅーか…
こう、二人は特別な感じするんじゃ。」

弦 「お前らもずっと一緒やん。」

奏大 「ほうじゃのぉ、でもなんちゅーか…
入り込めん雰囲気ある。」

弦 「まぁ大好きやけどな!」

奏大 「/////お、おう。」

弦 「なんで奏大が照れるんじゃ。」

奏大 「いや…かっこええなぁ、弦ちゃんわ。(笑)」

弦 「…言ったほうが、、ええかのぉ。」

奏大 「どうやろねぇ。暦は美人じゃけん
ほっといたら取られてしまうかもなぁ。」

弦 「…ほうじゃのぉ。」

『……』

奏大 「今日は仲間外れやし、練習しよかー!」

弦 「あ!新しく歌詞書いてみた!コレ見てくれ!」

ペラっ…ーーー
奏大は弦にわたされたメモ用紙を
見つめる

一通り乱雑に書かれたその歌詞を読んだ後

奏大 「……惚れとんのやねぇ。」

弦 「別に深い意味はない!!」

奏大 「(笑)」


ーーーー

弦ちゃんと奏ちゃんは
他の生徒と4人でバンドを組んでいて
たまに私たちに聞かせてくれた

弦ちゃんの夢はバンドマン。


学校が終わり3人は
暦の部屋に集まった。

ーーー.*・゚ .゚・*.

3人は暦の部屋で
それぞれ寛ぎながらお喋りをした

暦 「今日は爆弾発言あったな、詳細教えて教えて〜」

彩乃 「ひつこいな〜!(笑)自分はどうやのー?…弦ちゃんとは進展したのー?」

結 「もう付きおうとるのと変わらないけどなぁ、(笑)むかーしから。両想いじゃ♡」

暦 「…けどなぁ、なーーーんも。むかーしから、なーんも言われないしなぁ。そもそも付き合ったとして何が変わるんかねぇ、(笑)」

結 「そりゃぁ♡チューとかギューとかいろいろあるやんなぁ♡」

彩乃 「まだうちら中学生じゃ!(笑)」

結 「中学生やってもう15歳やん、来年は高校生やし大人じゃ♡」

暦 「みんな同じ高校じゃ、楽しみやわぁ♡」

彩乃 「この町に2校しか高校ないしなぁ!(笑)」

結 「かっこいい人いるといいなぁ♡」

彩乃 「結の頭ん中は色恋ばっかりじゃ!!(笑)」

暦 「ほんとやぁー!(笑)結は可愛いんやし
すぐいい人見つかるわ♡」

彩乃 「…暦からはいかんの?」

暦 「ん?なにが?」

彩乃 「弦ちゃん!!」

暦 「…ほうやねぇ、言ったほうが…ええのかねぇ〜。」

彩乃 「…弦ちゃん、モテるんやし!のろのろしとると取られてしまうよ?」

結 「ほうじゃ〜、弦ちゃんはバンドもやっとるし、けっこう後輩達から人気あるんやって聞いたよぉ?」

暦 「でも今更なぁ〜、(笑)」

結 「これだから両想いわぁー!(笑)」

彩乃 「……知らんよ〜…。言ったからなぁうちわ〜。」




私達は中学3年生になって初めての夏
来年の高校生活の話に花を咲かせ
その目はキラキラと
何も知らない私達は不安よりも
まだ見ぬ未来へ希望をもって…

ーー.*・゚ .゚・*..*・゚ .゚・*..*・゚ .゚・*.
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