溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~
彼はそれ以上話すことなく、黙々と食事を済ませてしまった。
私が想像していた食卓は、もうちょっと会話があるものだったのに……やっぱり口に合わなかったのかと落胆する。
「あー、満腹」
「食べてくださってありがとうございます」
「すごく美味しくて、夢中で食べちゃったよ。片付けは俺がやるから、咲はゆっくりして」
自分の食器をシンクに運んだ彼は、私をひとり残すことなくダイニングへ戻ってきた。
「ソファにいていいですよ?」
「いいの。食べてる咲が見たいから」
食べているところを見られるのは、なんだか恥ずかしい。
八神さんの優しいまなざしは、一瞬で私の気持ちを引き戻そうとするから、目をそらしてしまった。