溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~

「そもそも、八神さんはどうしてここに住んでるんですか?」

 家柄も仕事も揃っている上に、ホテル暮らしをするほど余裕があるなら、都内に乱立している高級タワーマンションでも戸建でも選び放題なはず。


「相手がいないのに、自宅を持っても楽しくないからだよ。時間も心も一緒に満たしたいと思える人がいれば、すぐにでもそうするつもり」
「……そう、ですか」

 彼が本気で恋をする相手が現れれば、間違いなくこの生活は打ち切られるだろう。

 ことあるごとにドキドキさせられるのも心臓に悪いし、彼が私に恋をするはずもなく、ただ彼の気が済むまでの時間なら、早く過ぎ去ってほしいと願う。


 だけど、もし……。
 いつか私がまた彼に片想いをしてしまったら、どうしたらいいだろう。
 告白をしたって、きっと彼は振り向いてなんてくれない。

 それに、他の女性の影があるのに、性懲りもなく惚れてしまう自分も嫌になりそうだ。


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