溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~
どういう距離感で過ごすのがいいのかもわからず、ソファの端を選んで座っていたのに、食事の片付けをしてくれた彼は、私の手を引いて中央に腰かけた。
「八神さんは、いつも何時に寝るんですか?」
「あと少ししたら、シャワーを浴びるよ」
「分かりました」
ソファの隣にあるラックの上で、二十二時を示す時計を見遣ると、彼が私の視線に気づいたようだ。
「眠いなら、お先にどうぞ」
「いえ、それはさすがに」
「じゃあ、一緒に入る?」
「っ!! な、なにを言ってるんですかっ!」
「あははは、冗談だよ」
彼らしい軽薄な冗談に、本気で顔を赤くしてしまった私の方が恥ずかしくなるなんて、予定外だ。
「お先に、シャワーお借りします!」
「はい、どうぞ」
ムッとしながら腰を上げ、寝室のウォークインクローゼットに設けられた私のための一角から、パジャマなどを持ち出した。