溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~

 先日のお見合いの時と同じように、どうしたらいいものかと考えているうちに、土曜がやってきた。

 八神さんに考え直してもらおうと話し合いの時間を作ってほしかったけれど、いつも多忙な彼は客先の接待や出張もあって、こんな時に限ってすれ違ってばかりだった。


 予定時刻より五分ほど早くドアチャイムが鳴って、八神さんが玄関ドアを開けた。


「お邪魔するよ」

 社長である彼の父親の声がして、リビングから少し遅れて玄関に顔を出すと、会長も入ってきた。
 十二月に入って冷え込みが強くなり、上質なコート姿は二人の威厳をさらに強く感じさせる。
 失礼がないようにと選んだ、膝下丈の淡いピンクのフレアスカートと白いブラウス、グレーのニットカーディガン姿の私と目を合わせるなり、彼らは目尻に深い皺を集めて微笑んでくれた。


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