溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~
地下まで下りると、整然と車が並んでいる駐車場に出た。
「今日は社用車じゃないんですか?」
「完全にプライベートだからね」
少し歩くと、一台の車の前で彼が足を止めた。
超高級車と一目で分かるけれど、お見合いの前日に見かけたものとは異なる。印象的なあのエンブレムは、初めて見たから覚えているのに……。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
左ハンドルの助手席に私を先に乗せ、膝の上に持ってくれていたバッグが置かれた。
後部座席にふたりのコートを置いてから、運転席に彼が乗り込むだけで、ドキッとしてしまった。
デートって、こんなに緊張するものなの?
シートベルトを締める仕草や、ハンドルを握る手を見ただけで、どういうわけか胸の奥がキュンと音を立ててしまう。