溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~

 地下まで下りると、整然と車が並んでいる駐車場に出た。


「今日は社用車じゃないんですか?」
「完全にプライベートだからね」

 少し歩くと、一台の車の前で彼が足を止めた。
 超高級車と一目で分かるけれど、お見合いの前日に見かけたものとは異なる。印象的なあのエンブレムは、初めて見たから覚えているのに……。


「どうぞ」
「ありがとうございます」

 左ハンドルの助手席に私を先に乗せ、膝の上に持ってくれていたバッグが置かれた。
 後部座席にふたりのコートを置いてから、運転席に彼が乗り込むだけで、ドキッとしてしまった。


 デートって、こんなに緊張するものなの?
 シートベルトを締める仕草や、ハンドルを握る手を見ただけで、どういうわけか胸の奥がキュンと音を立ててしまう。


< 140 / 210 >

この作品をシェア

pagetop