溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~
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三月に入り、年度末を迎えた社内は、いつになく騒然としている。
「なにかあったんですか?」
「三藤さん、知らないの?」
出社して自席に着き、隣にいる先輩社員に尋ねたら、逆にきょとんとされてしまった。
「大口契約の件、来期からは取引を四分の一にするって先方が決めたらしくて」
「えっ!? 本当ですか!?」
私のせいだ。
やっぱり機密文書の紛失は、大きな痛手を生んでしまったようで、どうしたらいいか必死で考えた。
でも、営業職の経験もないから出向くこともできないし、私がいくら謝っても、なにも変わることはないだろう。
「……どうしよう」
来期になったら、他の部署に異動させられそうだ。
それならそれで仕事に慣れるように努力するしかないのだけど……今回の件は、行く先々で上司の耳に入るんだろうな。