溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~

 それからは、あっという間だった。

 気づけば連れ出すことを考えていたし、それが叶ったら社用車に乗せて連れ出していた。

 そして、仮住まいのホテルの部屋に彼女を招き入れていた。


 他の誰も入れたことのないこの部屋に、初めて女がやってきた。
 家族でさえ知らない俺の生活を、〝三藤 咲〟と名乗った彼女は驚いた様子で眺めている。

 よく知らないけど、ここまで来る間も随分気を使っていたし、悪い子ではなさそうだ。
 それに、電車で見かけていた時から、心の優しさには気づいていたところもある。


「三藤さん、飲み物はなにがいいですか?」
「お水をください」

 部屋の一角に設けられた冷蔵庫からペットボトルを出し、グラスと一緒にローテーブルに置いた。

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