溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~

 私だけじゃなくて、彼も裸で眠っているとなると、真実味が増す。


 昨日、なにがあったの? 本当に一線を越えてしまったのかな……。


 ワインで酔ってしまって、歩けなくなった私を抱き上げて運んでくれて。
 恋愛事情を言い当てられて、またワインを飲んで……。


 キス、したんだよね?
 それで、たぶん押し倒されて。

 着ていたガウンを脱がされて。

 たぶん、身体を見られていて……。



 初めては痛いって聞いていたけど、なにも覚えていない。
 翌朝も名残があるって、友達は言っていたのに至って快適だ。


 それだけ、八神さんが上手だったってこと……なのかな。


 ――恥ずかしい。酔った勢いで身体を許してしまうなんて。

 どんな顔をしたらいいの?
 目を覚ました彼と、なにを話すのが普通?


 動揺と混乱と後悔が同時に押し寄せ、私はそっとベッドを下りてリビングへ向かった。


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