溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~

 自宅に帰って、作り置きのおかずを温め直し、「いただきます」と呟いて箸をつける。

 誰とも話さず、テレビの音に耳を傾け、おかずの味付けに心の中で批評する。意外と上手くできたレシピは、次はアレンジをしてみようと考えてみたりして。


「……寂しい」

 食事を終えて、手を合わせた後、思いがけず呟いたのは心の声だった。


 就職してひとり暮らしを始めてから約四年。
 友達と遊びに行くこともあるし、週末に出かけたい場所もある。趣味がないわけではなく、料理と読書が好きで、もしかしたらちょっとインドアかもしれない。
 文具を見たら心が躍るし、会社に行くのも苦ではない。


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