溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~
「三藤さん、あなたに折り入って話があります」
「はい……」
消え入りそうな声で返事をしつつ、俯きそうになる顔をなんとか上げる。
人事部長の冷めた瞳と業務的な声色が、一層私の不安を駆りたてた。
「社として、あなたに見合いの席を設けました。是非、受けていただきたい話です」
「……見合いって、お見合い、ですか!?」
「そうです」
なぜ、会社が私にお見合いを?
疑問ばかりが湧いて、なにも言えなくなった私を見た人事部長は、専務に話を引き継いだ。
「三藤さん、あなたを叱るつもりでここに呼んだわけではないんです。社のために、見合い話を受けていただいて、幸せを掴んでほしいと言っているんです」
「……すみません、仰っている意味が分かりかねます」
「構いません。これは、決定事項ですから。あとでお知らせする日時、指定した場所へ着物で来てください。いいですね?」