溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~
「弊社と先方の間で、業務協力の契約を締結しました。ただし、先方の会長の条件は、ご子息の見合い相手を出すことでした。男性に擦れておらず、仕事に懸命で、派手な生活をしていない女性を望まれており、社内であなたが選ばれたんです」
最近、業務協力契約を結んだ企業などあったかな……。総務にいれば、契約書などは一括して管理しているから見聞きしていてもおかしくないのに。
「あの……その条件でしたら、私なんかではなく他にももっといい人がいると思いますが」
「失礼を承知で申し上げますが、恋愛に慣れていないような雰囲気の方は、なかなか見つかるものではないんです」
そうですか、としか返せなかった。
普段接することのない人事部長にまで、私の地味さが目に付いたなんて。
「あの、お相手はどんな方なんですか?」
「大丈夫ですよ。双方の会長が学友で、間違いないお方ですから。受けていただけるとお返事を聞かせていただいたのち、お相手の情報を開示します」
一方的な内容にすぐ返事を求められても困る。人事部長は私に三日だけ待つと残し、先に席を立った。