例えば、XXとか。

人並みの中を3人が伊織を探すべくゆっくり走る。

似ている人に反応し、違えばまた探し見る。


走って、走って、走って……




「 伊織っ 」



碧斗の声は届かない。

時間だけが過ぎていく……


見つけたい思いが空回り……

伊織ではないあの人が、見つけた。



「 ……亜稀っ 」

「 碧斗、こんなとこで会えるなんてすごいね!嬉しいっ 」



誰?と優雅が眉を寄せ滉に聞くが、滉は言わない。

この二人の2度目の再会はあまりに、神様のイタズラと思えたから。

そして、運は不運へと傾く。


一番背の高い優雅の視線の先には碧斗と亜稀。

その後ろに見つけた伊織……



もうその瞬間に走った優雅が碧斗と亜稀を通り越し、伊織の視界に入った碧斗の姿を、優雅は自分の手で覆い隠した。



「 伊織ちゃんっ!!(見るなっ……)」



見るな…… それは優雅の心だけの声。



この声…



「 優雅… 君?」



滉の視界にも見えていた光景に驚きを隠せない。

急ぎ碧斗を隠すようにして立つ。

そして、碧斗の目には優雅が伊織の目元を隠している姿が。




「 伊織… 」





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