例えば、XXとか。

碧斗の声が、耳に響く。

大好きな人の声が、痺れてくる。



「 碧斗… 」

「 お前なぁっ!」



えっ、何、え!?



抱きしめられていた体が離され、腕は逃げられないように掴まれ、碧斗の顔は怒っている。



「 無断外泊しやがって!しかも菜月って友達でも親でもなくなんで優雅なんだ!
なに考えてる、アイツは男だぞっ
俺と同じで男だろうが!!
なのに平気で一緒にいがってバカヤローかよ!」



怒りを捲し立て言う碧斗に、開いた口が塞がらない。

しかも、無断外泊と言われ、それは碧斗のせいだと私も腹が立ってきた。



「 碧斗だって! 元カノとキスしてたじゃない、バカだよ、信じろとか言っといて一ミリも信じらんないよっ
私が妹だから離れないと思ってたんでしょ、そんなの違うから!
私は本気で碧斗が好きなのに、碧斗が裏切ったんだから!」


「 伊織…… テメェまた言ったな、妹じゃないって言ったのは俺だぞ、裏切るわけねぇだろうがっ
妹じゃないからお前を壊すくらい抱きたいと思ってるよ! なのに、妹 妹ってお前が言うんじゃねぇよっ ふざけんな!」


「 な… 勝手な事言わないでよ!誰が抱かれてやるもんですかっ 」



誰が、あんたなんかに……

碧斗なんかに……



「 妹なんだよ、私…… 一線越えてるんだよ、好きになった時からもうとっくに!
抱かれなくても、抱かれてるみたいに…… 」



碧斗が私をそんな風にしたんだよ。

好きで溢れちゃってるんだよ……




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