例えば、XXとか。
菜月の言ったことを振り返り思う、碧斗は口が悪いだけで本当は優しい奴だと。
友達の滉や七聖にも慕われているようにみえた。
以前、彩膳に行った時に滉から渡された名刺にあった碧斗の番号を登録していない。
それを思い出すと、何となく登録した。
碧斗は私の番号を知らないため、顔を見ないと話が出来ない。
それを少し寂しく感じた。
私が教えたら登録するかな……
「 伊織 」
「 …お母さん!」
商品を手に裏から戻ると、母が来ていた。
「 何、どうしたの?」
「 洗剤とか買いに来たの、伊織の顔も見たくて。どう? 碧斗君と仲良く出来てる?」
「 大丈夫、たぶん。少しは話すけどバイト時間がすれ違ってるからあんまり会わないの 」
胃腸風邪だったのは黙っておこう、心配するだけだしね。
「 それならいいけど、ケンカするくらい仲良くなってほしいから 」
ケンカっぽいのならよくやってるけど。
「 碧斗君イケメンだからね、お母さんも顔見るとドキドキするから、伊織は目が越えちゃうね 」
「 はいはい、もういいから 」
ドキドキするとか、わかるけど……
そうなる前に悪魔みたいな口振りだから、お母さんは知らなさすぎ。