例えば、XXとか。

碧斗に、好きな人が……


“いるって、言ったら?”


頭の中でグルグルと言葉が回る。

それはあまり、聞きたくなかったように思えた。



「 なんて…… 」

「 私は! 関係ないし! 別にいんじゃないの? あんた彩膳でバイトしてるんだし、つまりイケメンって認められてるんだし 」

「 おい、だから… 」

「 モテるのはわかるよ、好きな人いても逆に当然的な? だから、別に…… 」



私、何テンパッてんの?



「 なぁ、聞け…… 」

「 私にも紹介してよ! 」



あ… や、私、何言って……



「 お前さぁ… 」

「 考えといて! 早めに返事ちょうだいね、菜月も待ってるし、冬休み終わる前がいいし。
それと、これ私の番号だからっ 」



言うだけ言って部屋に閉じこもった。

もう頭が気持ちがわけわからなくてパンクしそうだった。

別に碧斗が好きだというわけじゃないと自分の中の気持ちが言ってる。

きっと、碧斗のせいで動揺しただけ……



“いるって、言ったら?”



あの言葉に動揺しただけ。





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