例えば、XXとか。
「 伊織、ねぇってば!」
「 あ、あ~ ははは、聞き慣れない言葉聞いたから 」
浮かれてしまった……
そんな私にまたもや冷たく痛い視線が…
碧斗だとわかっているから顔が見れない。
そんな私と菜月の耳に聞こえる声があった。
よく見れば、彩膳での待ち合わせな事もあり、来店するお客の女たちの密やかなトゲのある声。
『 ねぇちょっと、何あの二人… なんで一緒にいるの?』
『 別に可愛いくもないのに… まさか無理矢理付き合わせたんじゃない?』
『 逆に遊ばれるんじゃないの~ でも許せない、外ならいいわけ? ズルいじゃん 』
誰もが、私の友達と碧斗の友達以外は知らない事実があって……
聞こえる声にはなぜか申し訳なくも感じる。
そんな声に何も感じていない碧斗達。
「 伊織、気にしないの 」
「 でもさ、やっぱりああいうのは聞きたくないって言うか… 」
「 あのね伊織、私らは、彩膳店員から選ばれたの、だから今一緒にいるの、変な気落ちはやめてね? 」
菜月…… あんたの笑顔ちょっと怖いよ……
アイツも少しは察して待ち合わせ場所変えてよね!
「 伊織ちゃん菜月ちゃん、そろそろ行… 」
「 あー!滉君、碧斗君、優雅君がいるー!」
そう、彼らは囲まれすぐには駐車場から抜け出せなくなってしまった。
碧斗達の人気ぶりを再確認する事となり、もう、紹介という出会いは出会っただけになりそうな予感がした。