例えば、XXとか。

私の、私だけの景色……

碧斗に連れ去られるような感覚。

走りながら碧斗の姿を目で追う。



しばらくして彩膳から完全に離れ、走るのを止めた。

繋ぐ手は離されて、余韻が残る。



「 誰、駐車場の待ち合わせにしたの 」

「 碧斗、帰りみたいに囲まれたじゃないか 」

「 はいはい、悪かったな 」



彩膳待ち合わせにしたのは、私や菜月じゃ手の届かない彼らだとわからせるため?



「 で、どうする? 」



男3人がこれからどうするか話し合っている。



「 あの!私 お腹空いてるんだけど、ご飯はダメかな?」



そう言ったのは菜月。

話し合い決めた店は焼肉屋。



「 伊織ちゃん、しっかり食べなよ、病み上がりだしね 」

「 うん、ありがと滉君 」



気にかけてくれる優しさは嬉しい。

向かう焼肉屋は近いらしく歩くが、いつの間にか碧斗ではなく滉が隣にいる。

滉に視線を向けると必ず見て微笑んでくれる。



「 碧斗、あんなんでも伊織ちゃんが病み上がりなの事気にしてるから 」

「 え… アイツが? そんな風に全然見えないんだけど 」




心配してくれるなら、紹介は別の日でよかったんじゃないの?

冬休み終わる前でもさ。








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