例えば、XXとか。

互いに部屋でこもること二時間。

互いに部屋から出て、伊織はキッチン、碧斗はリビング。



私がいるのに何も言わないなんて……

話しかけたら答えるかな?



「 ねぇ なんか飲む?」

「 ビール 」

「 ないよ 」

「 焼酎 」

「 ないってば 」

「 酎ハイ 」

「 お酒はないから! コーヒーなら、飲む?」



無言、それを返事したと見なして勝手にコーヒーを渡す。

隣に座り、私は温めたお茶。

深夜番組を二人で見ているようで見ていない。


普段、気の合わない私と碧斗。

それがなぜか、お互いに顔を見合わせて……

視線を外さないでそのまま、見つめて……


瞬きの後、碧斗から距離が縮まってきた。

近く、そっと……

視界がお互いで埋まって……


キス―――――…………



その寸前、碧斗が先に我に返った。



「 …寝るわ 」

「 ……うん 」



碧斗が部屋に入ると、私は改めて息をした。



ビックリしたー!!

今の、何? 何だったの……

キスするかと思った、ほんとに……

アイツと、キスを……







< 69 / 282 >

この作品をシェア

pagetop