例えば、XXとか。
互いに部屋でこもること二時間。
互いに部屋から出て、伊織はキッチン、碧斗はリビング。
私がいるのに何も言わないなんて……
話しかけたら答えるかな?
「 ねぇ なんか飲む?」
「 ビール 」
「 ないよ 」
「 焼酎 」
「 ないってば 」
「 酎ハイ 」
「 お酒はないから! コーヒーなら、飲む?」
無言、それを返事したと見なして勝手にコーヒーを渡す。
隣に座り、私は温めたお茶。
深夜番組を二人で見ているようで見ていない。
普段、気の合わない私と碧斗。
それがなぜか、お互いに顔を見合わせて……
視線を外さないでそのまま、見つめて……
瞬きの後、碧斗から距離が縮まってきた。
近く、そっと……
視界がお互いで埋まって……
キス―――――…………
その寸前、碧斗が先に我に返った。
「 …寝るわ 」
「 ……うん 」
碧斗が部屋に入ると、私は改めて息をした。
ビックリしたー!!
今の、何? 何だったの……
キスするかと思った、ほんとに……
アイツと、キスを……