浅葱色の魁
なかなか戻ってこない平助を心配し
廊下を歩き、慶喜が土方を見つける


「誠を見かけたか?」


「いえ」


「まだ話をしておるのだろうか」


「時間がかかっているのなら
上手く話が出来ているのでしょう」


「うむ」





そこに、戻ってきた平助が
顔を引き攣らせる




「お前ら、まだ話してたのかよ?
仕事してんのか? つーか…
そんなに仲良かったか?」



土方と慶喜が、平助をジッと見る



ずっと話しをしていたと勘違いされたのかと、顔を見合わせ苦笑いする


「はぁー」と、ため息を漏らし
2人の近くにある柱に背を預け座る


「座れよ」


慶喜が平助の向かい側
庭に土方が膝をつく



「王政になってからのこと
どこまで考えてる?」




平助の質問に、2人の目が点になる

そんな2人に


「考えてないの?」


驚きの目を向ける




「慶喜… お前が1番考えてないと…」


「わかっている
徳川を完全に消しにくることくらい」


「土方さんは?」


「俺もそこらへんだ」


「じゃあ、慶喜を消す為に邪魔なのは?」


「俺達、新選組」


「と、家定の血をひく俺だ」


「新選組は、存続が決まっている
新選組がいてなんの心配がある?」


「新選組を城から追い出すことなんて簡単だ
ちょっとしたいざこざでいい
それに、板倉が心配していたこと
万が一、慶喜が倒れ
そばにいた俺も倒れたら
徳川の衰退は、確実
だから、俺を人質に出した方が良いというのは、あながち間違いではない
天子様の子を産めば
血筋は、絶えることが無いからな」



慶喜と土方が、平助の話に聞き入る



「それより…  心配なのは…



今、朝廷がどれほどの財を持っているか
それが、少なければ奪いにくる
政権を取り戻すという理由で…

恐らく、戦は必ず起こる

それも…どうでもいいことが理由で…

肩がぶつかったとか、言った言わないとか
どちらが先に手を出したかもわからないほどの小さな小競り合いを利用して…

土方さんに伝えておきたくて
もし、戦が始まったら

俺は、全力で慶喜を逃がす

新選組は、会津につくだろうから
逆賊になる可能性が高い

そうなったとき、すぐに体制を立て直す為
大阪へ
慶喜が逃げたことが確認できたら
すぐに後を追って」







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